雨も好き。

瑛星side

あの日以来、夏海と俺は恋人となった。

夏海の心が向けられていないことなど、とうの昔から知っている。

それでも、夏海がもうあんな悲しい顔をしなくてすむなら。



あの日、夏海は今にも死んでしまうんではないかというような表情を浮かべ、それでも涙は流さなかった。

俺だったら、こんな思いさせないのに。

そう思った時、
─付き合わない?

両思いから始まる恋だけじゃない。

これからゆっくり、俺の方を向けばいい。

これが始まりの合図だ。

そう思って、唇を重ねた。
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