雨も好き。
張り切って登校したものの、教室の前で足が止まる。
扉の前で突っ立っていると

「そこ、邪魔。」

瑛星!!!

「瑛星、あのね!」

スルー。
明らかに避けられてる。

しかし、ここで引き下がるものか。

瑛星の制服の裾をつかんで、昨日から頭の中で何度も呪文のようにリピートした言葉を一気に言い切る。

「昨日はごめんね言い過ぎたほんとにごめん!」

ぎろり。

上からすごい顔で睨まれる。

「お前の言葉、もうどこまで信じていいかわかんねぇよ。」

手の力が抜けて、するりと落ちる。

「夏海おっはよー。って、えぇ!?」
友だちがびっくりしている。

自分の意思には反して、とめどなく流れる涙。
「ごめん、保健室。」

小走りで教室を後にする。
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