幸せ行きのチケット
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

私の目の前には信じられない光景が広がっていた。

並木君は私の手をとり、箱に入った指輪を取り出して左手の薬指にはめた。

「まだ結婚はできないから、プロポーズをするまでの予約…かな。」

並木君は、照れ臭そうに頭をかく。

私の頬が赤くなり、涙がこぼれおちるのが分かった。

すごく嬉しくて、同時に将来のことを一瞬考えてしまった。

私の腕には赤ちゃんがいて、その光景を写真に写している並木君…。

あれ?

なぜだろう、涙がまだ止まらない。

嬉しい気持ちなんだけど、私はなぜか心が苦しかった。

「友利?…もしかして、嫌やった?う〜ん、確かにちょっと安いの買ってまったけど、いつか必ずいいやつ買ってやる!な?」

並木君の笑顔は私をまた苦しめる。

その笑顔は、どこかあの人と似ていて、思い出したくなくても思い出してしまう。

「並木君…………………………………………………ごめん。」

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