幸せ行きのチケット
すごく力が強くてふりほどけない。

「祐輔。離してよ。」

「嫌だ。俺は絶対離さない。」

「分かった、帰らないから。まだ帰らない。だから一旦離して。」

祐輔は少しずつ力を抜いていき、手を離してくれた。

ベンチに座り、祐輔を隣に座らせる。

「ちゃんと話し聞くから。最後まで聞くから。」

祐輔は黙って頷き、呼吸を整えてから話し出した。

「俺は、小さい頃両親に捨てられて、今兄貴と二人暮しなんだ。それで、兄貴も俺も生活費とか、かなり厳しくなってな。ついに兄貴、手出しちまったんだ。」

「何に?」

「犯罪に。」

犯罪…。

「犯罪って言っても、殺したりしたわけじゃない。…盗んだんだよ、人のものを。ひったくりってやつ。兄貴、バイク持ってたからそれで、通りすがりの人のものを盗んでいった。」

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