Rose of Blood 【リメイク版】
「カナリアさんはシエルとは長い付き合いなんですか?」

「私はシエル様が幼少の頃、教育係も務めておりました。」


シエルの教育係!?って事は、知り合って200年は経ってるって事だよね!?そりゃそんだけ長く付き合ってたらお互い信頼も生まれるよね。


「シエルは子供の頃から威圧的というか、人を寄せ付けない感じだったんですか?」

「そうですね。 お立場上しょうがないのかもしれませんが、幼い頃から周りの者たちにあまり心を許す方ではありませんでした。」


そうなんだ。王子様なんて偉い立場にいたらきっと小さい頃から大変なんだろうな。

私をここに置いてくれてるけど、どんな風に思ってくれてるんだろう?今もまだ怪しまれてたりするのかな?少しは親しくなれたつもりでいたけど、シエルはそうは思ってないかもしれない。もしそうだとしたら悲しいなと思ってしまった。


「シエル様が何をお考えで何を思っているかなど、皆分かりませんわ。」

「……そうですよね。」


それでも分かりたいと思ってしまうのはどうしてだろう。シエルの事を考えると胸が熱くなるのはどうしてだろう……。こんな気持ちになるのは初めて。


「ルカ様! 本日は色んな種類のジャムをお持ちしたんですよ! どれもクッキーとの相性はバッチリです!」


少し重くなっていた空気を蹴散らす様に、ラキの明るい声が室内に響いた。

プレーンクッキーの傍に並べられた色とりどりのジャム。ラキは笑顔で一つ一つの味を説明してくれている。




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