白衣の王子に迫られました。

「その代わり、俺と付き合ってください」

「うん、いいよ……って、はぁ? なにそれ! そんな条件のめるわけないでしょ?」

「飲めない? じゃあ、みんなに話しちゃおっかな、エア彼氏のこと。イタイ子だと思われちゃうだろうな~」

「そんなのイヤ!」

「じゃあ、俺の言うこと聞きましょうよ、センセイ」

「絶対にむ……ん、んっ」

抗議の言葉は森下くんの唇で制されてしまった。

逃げようとすると、大きな手が後頭部を押さえつける。

ぎゅうっと前に押されると、唇の密着度が増した。

やわらかくて暖かい。

一度も味わったことのない感触はそれほど嫌なものではない。

むしろ気持ちいい。

だからって、森下君とこんなことをしていいはずがない。

(どうしよう、どうしたらいいの? それに、これじゃあ息が出来ないじゃない!)

私は、死にそうになりながらもがく。

頭が真っ白になりかけた時、森下くんのくちびるは、チュッ音をたてて離れていった。


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