白衣の王子に迫られました。
「それにしても、なんで私なのかな? 森下君彼女とかいると思ってた」
「今はいないんじゃない? 昔は、春野さんと付き合ってたよね」
「ええっ、そうなの?」
知らなかった。
確かに、ただの同期って雰囲気と少し違うな、とは思っていたけれど、まさか元恋人同士だったなんて。
「うん。それから、オペ室のナースとかクラークの女の子とか、去年いた研修医とか、王子王子って騒いでる子たちはみんなつまみ食いしてるって聞いたことがある。特定の彼女は作らないって感じかな? だからって、今回はずいぶんなアレな所に手を出したよね」
香月君は私のまじまじと見る。だいぶ失礼な男だ。
「どういう意味よ! 私は箸休めだとでもいいたいの?」
「そうはいってない! でも、だからこそ、案外本気だったりしてね」
「ないない」
私は頭を振って否定する。
「まあ、頑張ってよ千嘉」
いいながら香月君は箸を置いて立ち上がった。
「僕、これから小さいオペが入ってるんだ。先いくね」
「うん、じゃあまたね」
「ああ、また」
私は香月君の背中を見送って、残りのご飯をかき込む。そろそろ病棟へ戻る時間だ。