白衣の王子に迫られました。

「森下君?」

やっぱりそうだ。私服だと若干、王子オーラが薄れるものの、私の姿を見付けるとキラキラの笑顔を向けた。

「……あ、先生。お疲れ様です、遅かったですね」

「なに、してるの?」

思わず聞いてしまった。何をしているかだなんて、みればすぐにわかるのに。

私を待っていたに決まっている。

「先生を待ってました」

やっぱりだ。

「今日ずっと避けられてたから、怒ってるのかなって思って」

シュンと俯く森下君を見て、あからさまに彼のことを避け続けた自分を少しだけ酷い女だと思った。

でも、そうさせるようなことをしたのは森下君だ。

「当たり前でしょ? あんなことされて、平気でいられるはずない」

「……ですよね。俺も反省したんです。だから、お詫びをさせてください」

「お詫び?」

「俺、こう見えて料理が得意なんですよ。今日は美味しい夕飯作ろうと思って、いろいろ買ってきました」

言いながら森下君は、持っていた買い物袋を持ち上げた。

それはだいぶ重そうな袋で、中から長ネギやニラなんかが飛び出している。

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