キケンなお留守番~オオカミ幼なじみにご用心!~

化学室での告白




「だからお前は無防備だって言ってんだよ。
これ以上、俺を困らせるな…」


「……」





どうして…。



どうしてなんだろう…。





赤石と同じ、男の人の腕なのに、

抱き締められた途端、

安堵して身体中から力が抜けてしまう。





なんなの…この気持ち…。



私、昨日からおかしくなってしまった…。





「あんなヤツとふたりきりになるバカがいるか。
ったく…俺が来なかったら、どうなってたか…」



抱き締める腕の力がもっと強くなる…。

昨日のことが甦ってきて…安堵感の中に不安がにじみ始める。



「そ…蒼こそ、どうして私がここにいるってわかったのよ」


「偶然だよ。
俺はここに用事があって…」


「用事?」


「……」



これ以上訊かれたくなさそうに口をつぐむと、蒼はおもむろに私を離した。



寂しいような、ほっとするような矛盾した気持ちになりながらも、私は理性を働かせる。



助けてくれたとは言え、もう蒼に隙は見せられない。

『あんなやつとふたりっきりになるな』って言うけど、そう言う蒼が一番キケンなんだから。



逃げなくちゃ…



と、ドアへ意識を集中させていると、



「てかおまえ、昨日ちゃんと寝た?」



思わぬ質問をされて、思わずきょとんと見上げた。
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