キケンなお留守番~オオカミ幼なじみにご用心!~





しばらく眺めていると、近くに女の子二人がやってきた。



年は私と同じくらいかな。

溌剌そうな感じで、スポーツをやってそうな感じの女の子たちだ。

違う学校の制服に大きなスポーツバックを下げている。

部活帰りかな?



「ところでアカネどこいったの?」


「元彼いた、って言って、会いに行ってるよ」


「えー元彼?」


「そうそう。
K校の、例の彼だよ」


「えー!蒼くん??」





え…?





私は思わず視線をやった。

けど女の子たちは気にしないで興奮げに続けている。



「けっこういいとこまで行ったけど別れちゃったんだよねー。
なんだっけ、アカネが振ったんだよね、たしか」


「そうそう。
蒼くんほんとイケメンなのにもったいなーい、って散々話したよね。
さっきちらっと久しぶりに見たけど、やっぱりイケメンだったよー」


「え、私らも会いにいこうよ」


「えーアカネの邪魔したら怒るよ?」


「大丈夫だよ、アカネから振ったんでしょ?
私も蒼くんと話したーい」



きゃっきゃと去っていく女の子たち。



これにしようかな、って手に取っていた、ネコちゃんがニヒルに笑っているパッケージも、もう私の胸を弾ませてくれない…。



元彼…。



そうだよね…。

蒼は私以外の女の子とも付き合っていたことがあるんだよね…。



解かってはいたことだけど…

いざ突きつけられると、その事実は私の胸を暗く重くさせる。




気づけば私は、ホラーコーナーに近づいていた。
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