夏とサイダーと手紙
優しく頬を撫でていく濃い塩味の風だけが、少しだが身体に蔓延する熱を冷ましてくれる。

視界の左端に存在する、小さな駄菓子屋が、徐々に大きさを増してくる。

自転車を激しく乗り捨て、派手な音をたてながら引き戸を開ける。

懐かしい香りに包まれた店内へと飛び込み、火照りきった身体を手で扇ぎながら、店の奥へと叫ぶ。
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