君が笑ってくれるなら
2章/苛められてるだろ
苛っとした素振りは微塵も表さない、お澄まし声で。

「和泉さん。編集部の黒田だけど、今から由樹がパソコンを返しに行くわ。5分程で着くと思うから」


「はい、承知しました」


「貴女、意地悪されていない!? 書類が山積みとか」

「え、えっと……」


「やっぱり……どの位有るの? 30ページ、それとも50ページ?」


「たぶん……その位は軽くあると思います。今日は残業を」


「バカね、残業なんて。封筒をね、渡すふりして、書類を由樹に任せなさい。仕上がったら、私が内線入れるから」


「えっ!?」


「由樹が、貴女が意地悪されてるんじゃないかって」

「でも、悪いですから」


「今日は急ぎの仕事もないし、自分の仕事は終わったからって。それに由樹は50ページ位なら、1時間もあれば楽勝よ」

< 17 / 206 >

この作品をシェア

pagetop