君が笑ってくれるなら
俺はキッパリ断る。


「結城くん、君はつれないな~」


――俺はノーマルですから。
先生、銀田末の推理を始めてください


西村は長い溜め息をつき渋々、推理を始め、俺はそれをパソコンに打ち込んでいく。

中年エロおやじの相手も楽ではない。

西村邸を後にして、社に向かう。
会社ビル間近、車中から見知った顔を見つけた。


……和泉!?


クラクションを鳴らし呼び止め、車を路肩に着ける。

「結城さん!?」


――何してるんだ?


「今日はお弁当ではないので……」


――昼休み、そんな時間か……


俺は数秒、考えて「乗れよ」と合図する。


――穴場を教えてやる


和泉の顔がパッと明るくなる。


後部座席、所在無さげに座った和泉。


「ずいぶん入り組んだ場所ですね」

一方通行さえなければ難なく、路地を1本入れば着く喫茶店。

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