Hospital waste
浅黒い肌、背中までの金髪を緩く三つ編みにして纏めている。

半袖Tシャツ、ベスト、ショートパンツにトレッキングブーツという出で立ち。

「どうせ名前訊くんでしょ?シエラ=オニキスよ」

彼女はハキハキとした口調で答えた。

「バックパッカーでね、北米をヒッチハイクで旅行中だったの。で、この田舎町に到着して、着いたその日に…」

「拉致されたのか」

アレックスがシエラの言葉尻を拾う。

「ここの連中は『入院』だって言ってたけどね」

「乱暴な入院もあったもんだ」

アレックスは床に腰を下ろし、溜息をついた。

成程、よく見ればこの部屋にはベッドも二つあるし、間仕切りのカーテンもある。

大部屋の病室らしかった。

その代わり窓には鉄格子が設けられ、ドアには当然のように外側から施錠がされている。

隔離病棟を思わせる造りだ。

< 22 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop