Hospital waste
軽い勾配の坂道を、アレックスは徒歩で登っていく。

明るい陽射しに包まれているのに、何故か気分は滅入る。

登るにつれて鬱蒼と生い茂ってくる木々のせいか。

最初は舗装されていた道路も、徐々に砂利道となり、外部からの人間の侵入を拒むかのようだ。

どこからか、カラスの鳴き声。

得体の知れない虫の鳴き声もする。

大抵の修羅場には慣れているアレックスでさえ、表情が強張ってきた。

肌でヒシヒシと感じる、この『ヤバさ』。

拳銃が必要かどうかは知らないが、奴の言ってた事は正解だったかもな。

知らず、生唾を飲み込む。

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