ブルーウィンズ~ラブソング嫌いなボーカリスト~



湊くんはその場に立ち止まってはくれたけど



今度はあたしの方を見てはくれなかった。



その姿にまた胸が痛くなったけど、あたしは両手をぎゅっと握って……。



こんな誤解されたままなんて絶対に嫌だから。



「……正直言ってあたしはまだブルーウィンズのファンなんかじゃない!



というよりあたしは本当に最近までただの騒音でナルシストで下手くそな高校生のバンドが



苦手な授業を黙って聞いてるよりも何よりも世界でいちばん大嫌いだった!



だからこのメンバーの誰かの彼女になりたいだなんて一度も思ったことないし。



だってあたしブルーウィンズをいいなと思ったのは容姿や人柄を好きになったじゃなくて



……あたしが本当に好きになったのはブルーウィンズの歌だもん!」



気付いたらあたしは湊くんに信じてほしくて必死に



まるで叫ぶかのようにぶつけている自分がいた。



そしてその思いが届いたのか、彼がようやくあたしの方に振り返ってくれた。


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