心の中を開く鍵
変わらないところもあって、変わったところもあるってこと?

それってトータル変わったとか言わない?

ぼんやりしていたら、ちょうど降車する駅に着いて、電車がゆっくりと停止した。
降りようとしたところで手を掴まれて、開いたドアから一緒に電車を降りる。

「……あなた、降りる駅じゃないでしょう」

「お前は降りる駅だろう?」

「送ってくれなくてもいいよ」

「そこまで都合よく考えてないって」

手を繋がれたままに歩きだされ、そのまま改札を抜けた。

見慣れた駅前の風景と、見慣れない翔梧の姿が不思議な感じだ。

「真由……」

「ん……?」

繋がれた手が離されて、そして翔梧の視線が下りてくる。

「元気そうで安心した」

柔らかく微笑まれて、少しどきまぎしてしまう。

そうだなぁ……。私も驚いたけれど、翔梧も元気そうで安心したかも。

「ところで真由」

「はい?」

唐突に変わった真剣な表情に、今度はドキドキした。

「お前、俺がずっと真由のこと好きだって言ったら引くか?」

……はい?

ずっと……ず……。

「三年も!?」

「ああ……やっぱり引いたか。じゃあ言わねぇ」

あっさりと言い放つから、まじまじと眺めてしまった。

いや。言ったも同然じゃない?

今、言ったよね?

「ちょ……ちょっと待とう? だってどこにいるかも解らない女を……って、どれだけ?」

「まぁ、それはまた改めて。明日、ミーティングで来社するからよろしくな」

片手を上げて、去っていく翔梧を呆然と見送り、何度も瞬きした。

いいたい放題だな。

……と、言うか、何なんだ、その爆弾みたいな発言は!!











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