イジワル同居人は御曹司!?
13. 兄を射止めろ!
そしてそれから数カ月後―――

「藤田さぁん!」

山下がバタバタと私のデスクに駆け寄ってくる。

「おめでとうございます!」

山下は目をキラキラ輝かせている。

ちょうどデータ作成に集中していたところだったので「何よ」と言って、思いっきり怪訝な表情を浮かべる。

「あれ、通達はご覧に?」

「なってねぇよ…」

「では今見てください!早く!」

何なのよ、と文句を言いながら私は渋々パソコンのマウスをクリックして社内通達を開く。

そこにはデカデカと『社内賞受賞案件の発表』と表示されていた。

まさか…

画面をスクロールすると優秀賞の項目に『Webサイト再構築プロジェクト』とハッキリ明記されている。

「うそ?!」

思わず声を張り上げた山下の方へ振り返る。

「やりましたよ~藤田さぁん!」

「やったな…やっちゃったよ、山下…」

私達のプロジェクトが…社内賞をとった。

その直後に内線が鳴る。

慌てて受話器を取ると『やったなー!藤田』と陽気な声が聞こえて来た。桜井だ。

「最優秀賞じゃなかったのが不思議だったけどね」

なんて動揺をひた隠して強がってみる。

桜井は受話器の向こうでアハハと声をあげて笑った。
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