イジワル同居人は御曹司!?
そして…番外編
恋愛なんてどーでもいい

口説き落とされる前のドキドキ

身体を重ねる一時の快楽

其れだけでもうお腹いっぱい

その前後にある駆け引きや、束縛なんかはうんざり


「うあ…うあぁ…」

先輩社員の藤田さんがチューハイを片手に不細工な顔で泣いている。

私が男なら興醒めもいいとこだ。

藤田さんは同居していた好きな男性に振られて、彼から離れるために引っ越ししたようで絶賛失恋中だ。

仕事帰りに会社近くの安居酒屋でヤケ酒に付き合うのが、習慣になりつつある。

「藤田さんみたいに一人の男性に拘る気持ちが解りません」

「ゆうぽんはさ、誰かを猛烈に好きになった事ってないの?」

「ないですね」

私は即答する。

そんなに執着する程、誰かに興味を持った事すらない。

「多少技巧の良し悪しがあるものの、結局セックスしたら同じです」

うわぁん!と再び藤田さんが泣き出す。

「私!5年以上誰ともしてなぁい!」

周囲のおっさんたちがギョッとした目で此方を見ている。

穴があったら入りたい…いや、藤田さんを埋めてしまいたい…。
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