イジワル同居人は御曹司!?
コーヒーの芳ばしい香りで目が覚める。

清潔な真っ白いシーツに見慣れない天井。

あれ…こには何処だっけ。

寝ぼけてハッキリしない頭でごろりと寝返りを打つ。

日差しがたっぷり降り注ぐ大きな窓の側にある青々と繁ったクワズイモが目に止まった。

ああ、そうか。

私はあのままお泊りしてしまったのか。

ぼんやりした意識の中、昨晩の出来事に遡る。


「酔って一歩も歩けません!」

会社の飲み会の帰り道、ばったり藤田さんの想い人である取引先の羽瀬さんと遭遇してしまった。

私は気をきかせて藤田さん達を2人きりにしようとして、強引に羽瀬さんと一緒にいた部下の小泉氏を連れて帰った。

そのまま帰ってもよかったのだけど、前々から彼の事は可愛いと思っていたので、半ば強引に部屋に上がり込んだのだ。

そして、その結果が今置かれている状況…。

いつもならスッピンを見られたくないので、タクシーか始発でそそくさと帰るが、昨晩は思いの外盛り上がってしまって、一旦深い眠りについたら起きられなかった。

どうしたものか…

ベッドの上に上半身をむっくり起こす。
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