イジワル同居人は御曹司!?
「これが契約書になります」

私がドヤ顔で言うと、奏さんは書面を手に取り目を通す。

「家賃四万って…安すぎないか?この辺の相場をしっているのか」

すかさずご指摘を受ける。

「共有名義人である私の同意を得られないと契約は無効です」

奏さんは素気無く言うと書面をテーブルの上に放り投げた。

「まぁ、この辺りの家賃の相場だと一戸建で賃料はおよそ30万円が妥当でしょうか。その額をお支払いいただければ私が余所へ移ってこちらの物件を藤田さんにお貸しすることもできますが」

月30万円…手取りがぶっ飛ぶわ…

「このボロい家に30万円ってちょっとふっかけ過ぎじゃない?!せーぜー15万5千円でしょ?!」

あまりの高額提示に思わず本音が洩れる。

「15万5千円でも構いませんが」

「どのみち無理にきまってるじゃない」

そんな高額な家賃を払い続けることなんて出来ない。それを知ってて言っているのだろう。

なんて意地の悪い男…

「週末までに気が変わったらお申し出ください」

奏さんは指でくいっと眼鏡をあげると、そのまま席を立つ。

大きなトランクを引っ張って早々に二階へと上がって行った。


悪夢再び…

私は膝の上に握りしめたこぶしを呆然と見つめる。

果たしてこの世に神はいるのだろうか。
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