鉢植右から3番目


 まあね、だって、何て言うのよ。初めましてほどの知らない人間だけど、初めましてじゃないし、久しぶりも可笑しいかもだけど、ハローっていえるほどの仲でもないし・・・。

「・・・とりあえず、移動するか?」

「ええと・・・・はい。漆原君お腹すいてる?」

「それなりに」

「何食べたい?」

「・・・面倒臭いから、決めて。俺何でもいいから」

 だるそうないい方だなあ~・・・。機嫌悪いのかしら、と隣を見たけど、別にそうでもなさげ。興味がない、んだろうな・・・。

 じゃあ、あそこでいい?と指差した大衆イタ飯屋さんに、ヤツが頷いたので入った。

 メニューを決めるのにもだるそうだった。

 ちらりと見てランチメニューがあるならそれで、と3秒くらいで日替わりランチに決めていた。

 ・・・意思、なさげ。

 ちょっと呆れて前でソファーシートにもたれる同級生を見ると、まだ?と聞かれたから若干慌てて注文した。

 しばしの沈黙。

 空白が生まれると、やっぱりこの状況を不思議に思いだす。

 ・・・私はここで何してるんだろう・・・。

 居心地が悪くてもそもそと動く。すると更に静けさが増す気がして、とにかく何か話さなければと思って口を開いた。

「・・・あの・・・漆原君。昨日の話、聞いた?」

 ヤツは前で黙って頷く。・・・ま、そりゃ聞いたからここにいるんだろうけど。つーか、キャッチボールにならない男だ。


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