鉢植右から3番目
第2章 タイムリミットの囁き。

1、嫁という仕事。



 そんなわけで、ただ何となく始まった同居生活は、1ヶ月くらいが過ぎると、もう完全にその状態が日常生活になった。

 同居する相手が父と母からヤツに変わっただけでOL時代は一人暮らしだった私は、結構快適だった。

 なんせ、やつは両親みたいに干渉しない。

 勿論小言もない。

 そして、相手が欲しい時には話し相手になるくらいの会話はある。

 お互いが好きなように淡々と落ち着いて毎日を暮らしていた。

 平日も休日も別々だったし、最初は戸惑ったそのすれ違い生活も、慣れてしまえば「同居ってこれか!」と思う気楽さがあったのだ。

 私は予定通りに居酒屋のバイトを辞め、昼間の歯医者の受付の仕事を少し増やして貰った。だけどそれでは時間が余るから、部屋を改造したり緑を育てたりした。

 OL時代、妻がいる上司と過ごせない休日は、ベランダガーデニングで心を慰めたものだった。

 そんな記憶は思い出したくはないが、緑に責任はないし、実際のところ、土いじりは心が安らぐ。しかも今の私には収入を心配する必要がないって好条件があるのだ。

 就活をやめたわけではなかったけど、経済的にも心理的にも余裕が違った。

 アパートの2階で庭なんか勿論ないけど、大家さんに許可を貰えたので、アパートの廊下の端で自宅玄関前に小さな収納棚を置いて鉢植で植物を育てている。

 ハーブや、ミニトマトなどの食べる系や、サボテンやベゴニアなどの観賞系を色々と。


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