鉢植右から3番目


 明るく積極的な人なのだ。本当にあのダレ男の母親か?と何度か疑ったことがある。

 親友の娘ってこともあって、初めから気安く接してくれていた。今ではご飯のレシピなどは自分の母親よりもこっちの母親に聞くことのほうが多いくらいだ。

「はい、元気ですよ~。彼は今いませんが、ご用ですか?」

 未だに呼び方が判らなくて、親御さんの前では大地さんとか彼とか曖昧にもごもごと呼んでいる。ヤツも私のことは名前で呼ばないからお相子だけど。

 二人とも、用がある時は、おーい、とか、ねえ、とか、そんな呼びかけだ。

 法律上は義理の母親である人もコロコロと笑った。

『違うの、あの子に言ってもどうせ反応ないから、都ちゃんに言っておこうと思って』

 何の気構えもなしに、はい何ですか?と私は聞いた。

『法事の案内、来たかしら?』

 ああ―――――、と私は新聞を退ける。葉書を手にして、はい、と返事をした。

「今日来てました」

 言いながら葉書をひっくり返す。これはヤツにきたものだからとちらっと見ていただけだった。

 電話の向こうで朗らかな声が言った。

『これ、法事自体は13回忌だからそんなに大きくしないんだけど、この時に都ちゃんのお披露目を兼ねて集まるらしいのよ~。宜しくね~』

 ―――――――――何ですと???


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