…だから、キミを追いかけて
「…だったら波留に聞けば?その本を作る時、波留のお祖父ちゃんが携わったって話、聞いたよ!」
「波留のお祖父ちゃんが⁉︎ 」

またしても大声。さすがに聞こえたみたい…。



「……俺の祖父さんがどうしたって?」

不機嫌そうにやって来た。
あちゃ…と顔を隠す私に変わって、澄良が話し始めた。

「夕夏が、町内の昔話が載った本読むのが面倒だって言うから、波留に聞けば…って言っとったとこ。…ほら、波留んとこのお祖父ちゃん、あの本の作製に携わっとったろ?」
「……携わっとったと言うか……手伝わされとったって感じやったけどな…」

「やったら波留、知っとる?灯台の女神の話…」

ピクッ!と眉が釣り上がる。

澄良……その話は波留にはヤバい…ってーーーー!


ジィーっと怖い顔して睨まれた。


(何よ⁉︎ あんたが隠すからでしょ⁉︎ )

負けじと睨み返す。
私の視線に根負けしたように、波留が短く息を吐いた。

「…知っとる…。聞きたかったら、ついて来い!」

言い逃げ⁉︎ この間と同じ展開じゃん!

「ちょ…ちょっと待ってよ!波留っ!!」」

さっきと同じように背中を追う。
追うのは何度目⁉︎
いい加減、嫌んなってきたーーーー。


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