…だから、キミを追いかけて
「……独りにせんとって………!」

夕夏が抱きついてきたことも誰にも言っていないーーー。
これからも、俺だけの胸にしまっておくーーーー。





「……なぁ、夕夏………」

披露宴用の衣装に着替えた俺は、隣にいる色打ち掛け姿の彼女に問いかけた。

「何ん?」

ドングリのように丸くて一際大きい目がこっちを向く。
小ぶりな鼻と赤い唇を確認しながら、俺は声を発した。


「…俺と居て、幸せになれそうか……?」


今更……?という言葉を返された。
それでも不安そうに頷く俺に最高の笑みを浮かべ、彼女はきゅっと手を繋いだ。


「なれるよ……波留が相手だからこそ!」

他の人じゃ駄目なんよ…と最上級の褒め言葉を添えて、俺と夕夏は、皆の居る場所へと歩いていったーーーーー。






Fin
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