…だから、キミを追いかけて


生温い海水に包まれる。

ユラユラと重りを付けられているような感覚で、底へと引きずり込まれていく。
逆らうことも、もがくことも敵わない。


力が……入らない………。


ーーグイッ!と、背中を引き上げられた。
引力に逆らう様に、上へ上へと持ち上げられる。


何だろう……?力強い感覚……。


……そっ…と手を伸ばした。
前にも似たような感じを受けたことがある。


いつだったろう……。


子供の頃……?


それとも……最近………?




「……しっかりしろ!夕夏!!」


声がするーーー


(この声……)



「…………波留……」

ゴブッ…と息を吐いた途端、海水が喉に走り込んできた。


「苦し……助けて……」


「バカッ!声出すな!黙っとけ!」

暴れる私を引き寄せる。
力強い腕で、海面へと抱き上げられた。


ザバッ!と水の中から顔が飛び出す。

呼吸がしやすい。


空の青さが……やけに眩しい………。




「……大丈夫ーー⁉︎ 救急車呼ぶーー⁉︎ 」

頭の上から声がする。

「いらんっ!意識はある!!」

耳の側で怒鳴り声がする。


開けにくい目を開く。
黒い肌の人が、私を抱いて泳いでいる。



「こっちこっち!」

シーポートの上から澄良が呼んでいる。
海斗さんと星流が、その横で待ち構えている。

「…頼むわ」

体を押された。


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