桜の龍~誠の元に集う者~

嵐の前の静けさ

 私がこの幕末にやって来て、早半月。仕事も忙しくなり始め、副組長のお役目もそれなりに板に付き始めた。
 歩「そこ、腰が甘い!!」
 隊「はっ、はい!」
 この日も隊士の稽古を見ながら、私の一番弟子である今野の相手。因みに、今日は平助が率いる八番組と一緒です。
 今「やあッ!」バシッ!
 歩「遅いぞ!」スパンッ!
 今「くっそ~、また負けた~!」
いやいや、結構見処があるぞ。うん!
 歩「いや、この短期間でよくここまで腕を上げたな。お前以外にも、多くの門弟達を指導したがすぐに吸収する者は、中々いなかったぞ」
誉める時は、ちゃんと誉めるわい。
 と、そこへ。
 平「歩夢ー!」
 歩「平助。どした?」
私と今野に近付いてたのは、平助だった。しかも、どこかニヤニヤしている。
 歩「何?今野、今日はここまで。他の隊士とやっていいぞ」
 とりあえず今野に次の指示を出してから、平助に向き直る。
 歩「何?相手して欲しいの??」
 平「そうじゃねーし!実は稽古が始まる前、近藤さんからお前に言伝てを頼まれててさ」
 伝言?
 歩「そう・・・。近藤さんは何て?」
 平「一語一句間違いなく言うと、『今宵、渡辺君の歓迎を行うぞ!永倉君と斎藤君が巡察から戻り次第、島原に向かう。これは局長命令だ!』だとさ」
えっ、歓迎会?何故に今更?
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