お前、可愛すぎてムカつく。



生徒玄関の近くで、松林先生に会った。


手を繋いでいるところを見られるのが恥ずかしくて手を離そうとしたのに、蒼空はなかなか離してくれなかった。


それを見た先生が驚いた顔をしている。



「なんだお前ら…付き合ってたのか!?」


「ハイ」


蒼空はいつも通り、感じ良く答えた。

他の人にはいつも愛想いいもんな…



「意外だな…榎本がお前なんかと付き合うなんて」


先生は低い声でそうつぶやく。


え…?

大抵の人は、蒼空が私なんかと付き合うなんてって思うはずなのに…


それにいつも笑顔の先生が、今日はちょっと雰囲気がちがくて驚いた。


「そーですかね…?」


「ああ…。驚いたよ」


先生は真顔で私のことを見つめている。


少し怖くなってうつ向いた。


どうしたんだろう、先生…。


「じゃ、俺らもう帰るんで」



蒼空は頭を下げると、足早に私の肩を抱えて生徒玄関を出た。

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