近藤さんといっしょ
告り逃げ、駄目、絶対
「家族と、友達と、ホンと、趣味と、君の大事なことのその次でいいから、俺のこと考えてくれませんか?」


そう言われたのは、忘れもしない六月二十日。
自宅近くの図書館前、何回目かのデートの別れ際、月も出ていない暗い夜に、近藤さんにそう告げられた。
今晩の夕食、私の分残ってるんかいな、とか心中考えていた私は、正直ぎょっとして間抜けにも「は?」と声を出してしまった。
目の前に立った近藤さんは、所在なさげにそわそわと視線を泳がせている。


「え、あの」


「あ! いや! いいから!」


ばっと両手を前に突き出し、私の言葉をさえぎる近藤さん。
何がいいんだよ、と思ったら


「返事は! 急がないから! 全然!」


「え」


「考えてくれていいから! 時間とか、全然あるし! うん!」


既に逃げ腰。おいおい、待たんかい若者。
これって告白だろ?


(返事いらんって、なんでじゃい!)


じわじわと後ずさる相手ににじり寄りながら、私はその手を掴もうとした。しかし、それを機敏な動きで回避される。告白した相手から逃げようとするってなんでじゃボケぇ、と突っ込みたくなるのを我慢した。
後ろには近藤さんの愛車のシルヴィアが待機している。多分こいつ、隙をついて乗り逃げする気だと直感的に感じた。


「近藤さん」


「はいぃ! あ、いや! いい!」


「いいってなんだ!」


「次! 次でいいから!」
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