黄泉の本屋さん


しんと静まり返った店内も、懐かしく思えて。
そういえば、一番最初にここに来た時も、今と同じように店内には誰もいなくて。



奥から、浅葱がたくさんの本を抱えてやってきたんだ。





「いらっしゃい」




静かな店内に聞こえた、愛しい声。
優しく、穏やかなその声の主を探す。



「・・・浅葱っ」




あの頃と変わらないその姿で。
優しい笑顔を浮かべながら彼は私を見つめる。

こみ上げる想いに息が詰まる。




「いらっしゃい。探し物ですか?」




あの時と同じ声が。





「会いたい人がいたんです。でも、もう・・・会えました」





約束を。
果たしに。




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