し・か・え・し
遠回りしたけど・・・


啓次郎が水本建設に居る
そう聞いて目の前を通るときは
緊張してしまう。


もしバッタリ会ったら?
『久しぶり!』って言う?
『えー!どうしてここに?』って言う?
それとも黙ったまま逃げる?


でも・・・会いに行くつもりはない
啓次郎に取ってあたしはもう過去の人。


会社にかわいい子がいるって言ってた。


数日後
水本建設の前を通ったときのこと。


数人が会社から出てきた。


思わずあたしは身を隠してしまう
あの中に啓次郎が居たら・・・
と 思うと身体が勝手に反応しちゃって。


だが・・・その中には
啓次郎の姿はなかった。


安心と残念と2つの気持ちが
入り乱れる。


その時!
一人のスーツを来た男の人が
玄関を出てきた。


あ・・・啓次郎。


久々姿を見て思わず駆け寄りたくなる。


いいじゃん!声ぐらいかけたって
そこでもし無視をされたら
その時はその時で
本当に諦めがつくじゃん。


みんなが啓次郎はあたしのことを・・・
なんて言うから自惚れてる。


本当にあたしのことを思っていたなら
絶対に啓次郎は抱きしめてくれる
そう期待して一歩歩んだ。


そしてまた一歩・・・
ゆっくりと。





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