わたしはみんなに殺された2〜贖罪の時〜






「……………起きてよ、正秀くん!!!」



冗談なんかじゃない。



さっきまでは見えなかったけど、完全に片側の身体が壊れている。



まるで弾けたみたいな………なんて言うんだろう、意味がわからない、どうしよう?



今にも崩れ落ちそうになる身体をなんとか2本の足で支えて、倒れそうになるのをこらえる。



正秀くんに残っているたった1つの目はこれでもかってほど見開かれていて、その表情には深く恐怖の色が刻まれている。



そんな顔、見たことなくて。見たくなくて。



きっついなぁ。



なに、これ?



「……………」



なんだか、現実味がなくて。



「………嘘だ」



そこら中に漂う鉄の匂いが。



「…………違う、嘘じゃない」



全ての感覚を奪っていくように。



「早く、合流しなくちゃ」



私を、包んでいる。



「早く、見つけなくちゃ」



私は血だまりの中にあった、ホラー話がたくさん書かれた手帳を拾い上げる。



血が染みていて文字を読むことは出来なかったけれど、正秀くんの得意げに語る姿を思い出して、なんだか手放せなくなった。



スカートの、今着ている服の中で1番奥が深いポケットに、それを大事にしまい込む。



正秀くんが死んでしまったなんて、信じられない。


だって、今朝あんなに楽しそうに話してたじゃない。



そんなの、信じたくないよ。



でも、そんなことを言っている間に、また誰か死ぬかもしれない。



悠人さんも言っていた。


どこに何があるかもわからない人が逃げ回っているのなら死ぬ確率が高いって。



みんなは〈あの子〉が盲目なのを知らないのかもしれない。


〈この子〉の存在を知らないのかもしれない。



なら、私が教えなくちゃ。


あの3人からも、黒田くんからも教えてもらったんだから。



カーディガンのポケットの中の石ころを、ぎゅっと握りしめる。



「……………みんなを…探さなくちゃ」



私は少し目をこすって、再び歩き出した。




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