ホワイトデーの奇跡【完】
「…うん…相変わらず。作業着油まみれにして帰ってくるよ」
『そっか…』
「今年はまだ正月に一瞬会ってから、会ってないよね」
『えっと…うん、そうだったかな』
「そうだよ」
『…うん』
龍平さんとは
あの事件以来まともに会うことが出来ないでいた。
あんな恥ずかしいことを、汚い自分を知られたくなかったのに。
全部知られて。
もう…自分が嫌で嫌で仕方なかった。
今、少しだけ大人になって思えば
大きな危害を加えられたわけでもないし、未遂で済んでむしろ幸運とも言うべきなのかもしれない。