君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)
新庄さんは、少し黙って。



『泊まれる?』



そう、訊いてきた。

ドキン、と鼓動が跳ねあがる。


なんで今さら、こんな言葉くらいで。

私、どれだけこの人が好きなんだろう。



「午前中のうちに帰れれば」

『それは、大丈夫だろ』



…そう言いきられるのも、微妙だけど。


でも、安心した。

私はまだ、あきらめられてない。


電話を終えて、先を行くふたりに追いつくと、三ツ谷くんが、ちらっと私を見た。

私はなんとなく後ろめたくて、それに気づかないふりをした。





「大塚さん、高木さん宛てにバイク便なんですけど。僕が受けとっていいんでしょうか」

「うん、請求はまとめて来るから、三ツ谷くんの名前で受けとりお願いします」



すぐに、大きな紙筒を抱えて戻ってくる。

伝票を確認すると、今度のイベントに使う物件の再校だとわかったので、高木さんが戻る前に目を通そうと、開けた。



「校正って、もうした?」

「いえ、教えてください」



じゃ、やろっか、と言って、物件を広げられるだけのスペースを探す。

窓際のテーブルはふさがっているので、運よく空いていた制作ルームを使うことにした。

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