「先生、それは愛だと思います。」完

「先生、それは愛だと思いますっ……」

先生、私は、先生にいつも教わるばかりだったけれど、少しくらい私も先生に何かを分け与えることはできたかな。

『高橋先生のことが、ず、ずっと好きでした』

あの日、ダメもとで告白したこと、私は一度も後悔なんかしていないよ。
いつも余裕な先生の表情が、少しだけ間抜けになったあの一瞬を今も覚えているよ。

好きって気持ちを言葉にするのって、なんであんなに泣けてしまうくらい、胸が熱くなるのかな。
ダメもとでした告白だったけど、好きって言葉を口にしたとき、実は少し泣いちゃいそうだったんだ。

でもね、今はもう、好きなんて言葉じゃ足りないよ。
先生、私はあなたを愛しています。心から。

「うん……そうだね。これが、そうなんだ」
先生は、私の涙をもう一度ぬぐってから、愛おしそうに頬を両手で包んだ。
「……俺に、守らせて。お願い。こんな、お守りなんかじゃなくて、ずっとそばにいて、守るから」
「ずっとって、どういうことだかわかって言ってるんですか」
「わかってるよ」
「私じゃだめって、言ったくせにっ……」
「ことりじゃないとだめだ。この四年間でそれが痛いほどわかった」
「そうやって、言葉だけならなんとでも言えるじゃないで……っ」
捻くれた発言をしかけた瞬間、まるで言葉を飲み込むように深いキスをされた。
それから、溶けてしまううんじゃないかってくらい優しい声で、囁かれた。

「……愛してるよ、文ちゃん」

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