「先生、それは愛だと思います。」完

波乱の勉強合宿



昨日の自分は私ではない。
きっと何か悪い霊が乗り移って、あんなに大胆な行動をするように仕向けたのだ。

「文ちゃん、何してるか聞いていい?」
「お祓い」
「とりあえず机の四つ角に盛り塩すんのはやめよう」

手を合わせてお経を唱えている私を見て、ユイコは塩を片付けながら冷静に突っ込んだ。

「どうしたの、何があったの」
「うう……」

私だってユイコに相談したい。だけど高橋先生の家に行って自らキスしました、なんて、若様ファンのユイコに言えるはずがない。
私は手を合わせながら、じっとユイコの瞳を見つめた。
彼女は厄介なものを見つめるように、眉を顰めている。

「ホームルームするから席つけー」
悩みに悩んでいると、おじいちゃん先生が教室に入ってきた。
ユイコは自分の席に戻り、私もお経を読むことをやめた。

とにかく、先生には暫く会うことはやめよう。というか、会わせる顔が無い。
携帯番号を登録したら、必然とLINEも登録されたけれど、いまだに先生にメッセージを送ったことは無い。


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