過保護な彼にひとり占めされています。



「……そっけなくして悪かったよ」



小さくつぶやき、背けたままの相葉を下から覗き込む。その頬は、ほんのりと赤い。



「照れてる?」

「そりゃそうだ。こんな自分見せたくねーよ」



見せたくない、そう言って見せてくれるのは、私が『教えて』と言ったから?

いつだって彼はこうやって、まっすぐに向き合ってくれるんだ。

私の、心と。



私は手を伸ばすと、両手で相葉の顔をそっと包む。熱を帯びたその頬に、触れるように。



「……来てくれて、ありがとう」



それは、さっきは素直に言えなかった言葉。



ありがとう、駆けつけてくれて。

ありがとう、気持ちを教えてくれて。



あぁ、やっぱりその存在があたたかい。







< 73 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop