過保護な彼にひとり占めされています。
「村本、なにしてんの」
「えっ?あっ、相葉!」
俺を見て驚く村本、けれど目の前の男の顔はそれ以上に驚きを見せる。
「なに、知り合い?」
じろ、と睨むような目つきで男を見れば、俺よりやや背の低いスーツの男は、それまでの軽快な口調とはうってかわって「えっ!?」と声を裏返させた。
「あっ、お、お連れ様がいらっしゃったんですね!?あ〜……それじゃ、お待たせするわけには、行きませんよねぇ〜……」
「あは、あはは……」と逃げるように後ずさりし、足早に去って行く男に、その場には俺たちだけが残された。
「……ふぅ、助かった」
安堵したように胸を撫で下ろす村本に、つい呆れた目を向けてしまう。
「お前なぁ……ここ数日でどれだけ男に絡まれれば気が済むんだよ!酔っ払いにナンパ男に、挙句にキャッチセールスって!どんだけチョロいと思われてんだ!!」
「チョロ……!?知らないよそんなの!私のせいじゃないし!」
安心感や心配の気持ちからつい大きな声を出す俺に、村本もムッとしたように言い返す。
確かに村本のせいではないだろう。そもそもは声をかけてくる向こうが悪い。そう分かっていても、もっとはっきり断るとか、意思をしっかり持ってくれないとこっちは不安で仕方がない。
そんな思いから出た小さな溜息に、俺がバカにしたととらえたのだろう、その顔は子供のようにむっと膨れっ面になる。
その拗ねた顔がまたかわいくて、おかしくて、「ぶっ」と笑いが噴き出た。
「なっなに!」
「いや、変な顔だと思って」
「変な顔って……失礼な!もう!」
余計怒る村本をなだめるように、俺はその頭をぽんぽんと撫でる。
その仕草ひとつに、丸め込まれるようにおとなしくなってしまうものだから、愛しさに胸の奥がくすぐられるようだ。