【完】ある日、恋人を購入した。
奥手すぎるカレシ
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「え、彼氏できたの!?」
「うん」
「トモに!?マジで!?」
「だから、そうなんだってば」
いつもの会社。
休憩中に女子トイレでメイクを直している時に、あたしは何気なく尚叶くんのことを仲の良い同僚、アズサに話してみた。
シュウさんによると、購入したことは話しちゃいけないけど、「恋人ができた」ことは話しても別に何の問題も無いらしい。
そしてあたしがリップを塗り直していると、隣でアズサが言う。
「えー、良かったね。どれくらいぶり?」
「…三年とか?久しぶりの彼氏だよ」
そう言って、あたしは使ったリップをポーチに仕舞う。
すると、アズサはマスカラを塗りながら…
「…どうりで今朝、シャンプーの香りがいつもと違うと思った」
「!」
そう呟いて、ニヤリと不敵に笑った。