Ri.Night Ⅲ


「これとー、これ?……あ、こっちにしよう」


お気に入りの服を取り出して、まずは貧相な胸を隠す為に真紀さんお手製のコルセットを着る。


その上にVネックのカットソーとベストを着て、下はキレイめなダメージデニムを。


あとはアクセサリーを幾つか付けて完了。



獅鷹に行く時はいつもこんな感じに男装をしていく。

貴兄の妹だとバレないように。


というより、獅鷹の中に女がいる事がバレないようにって言った方が正しいかもしれない。


女が出入りしてるとなれば色々面倒臭いし、狙われる心配もあるから。


だから、獅鷹に行く時はいつも男装して行く事にしてる。




「あとは……ウィッグだけか」


男装用クローゼットから真っ黒のウィッグを持ち出して、鏡の前へ。


今日は貴兄と優音地毛で行くだろうから、あたしは黒で行く事にした。


長い髪の毛をウィッグに収まるよう纏めて、その上からウィッグを被る。


あとは、引き出しの中からコンタクトケースを取り出して、中に入ってるグレーのカラコンを装着。


仕上げは眉ペンで少し眉を太く書き、男らしくするだけ。



「……よしっ」


完了!


鏡に映る自分はどこからどう見ても男で。


スッピンにカラコン、ウィッグを被るだけでこんなに優音そっくりになるなんてホント不思議だ。


あたし、ホントに女だよね?心配になってきたんだけど。


ってそんな事どうでもいいや。早く行かないと。

また怒られてしまう。


スマホと財布をポケットに入れて部屋を飛び出す。

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