Ri.Night Ⅲ





「ようこそ。獅鷹総長サン?」




ニヤニヤと厭らしく笑いながらこっちへ歩いてくるのはボスらしき男。



「……テメェ、誰だ?」



男の勝ち誇ったかのような笑みに、貴兄の顔が険しくなった。


ちょっと待って。貴兄面識ないの?


敵対心剥き出しにしているから知ってるかと思ったのに。



じゃあ、コイツ等は一体何者なの?





「俺等が誰かなんてどうでもいいんですよ」




誰かなんて、どうでもいい?


どういう意味?



疑問に疑問が重なって、頭の中が段々混乱してきた。



一体どういう事?コイツ等の目的は何なの?


こんな凝った罠を張ったのに正体はどうでもいいなんて、あたし達をどうしたいの?


次々と浮かんでくる疑問が、頭の中をグルグルと駆け巡る。





「何が目的だ」


「目的?“俺達”がする事は一つだと思いますが」


「……そうか」



男が発した一言に頭を伏せ、フッと口角を引き上げる貴兄。


その笑みを見てあたしと優音は笑ってしまった。



「……あーあ。後悔しても知らねぇぜ?」



ハッと鼻で笑った優音が敵にそう忠告する。




ココに居るのはもう“貴兄”ではない。


歴代最強と言われている獅鷹六代目総長、“獅貴王”(シキオウ)。




「さぁ、始めようか」




貴兄の中の獅子が今、目覚めた。

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