Ri.Night Ⅲ


……っ、駄目だ。

此処に居たら駄目だ!



こっちへ歩き出そうとした十夜を見て、震える拳をグッと強く握り締めると、十夜達が居る反対方向へと走り出した。



「凛音!!」

「凛音ちゃん!」

「りっちゃん!!」



背中に突き刺さる皆の声。



「凛音!待て!!」



だけど、いくら呼び止められてもあたしは止まらなかった。



今、今皆に逢ったらあたしは……。


あたしは……!!



震える足を力の限り動かし、月明かりが照らす車道を力一杯走り抜ける。



早く、早く、早く。


気持ちばかりが焦って、なかなか前に進まない。



「凛音!!」



背後から迫ってくる複数の足音。


十夜達の、足音。


五人の迫り来る威圧感と地面を響かせる足音があたしを窮地へと追い込んでいく。




……っなんで!!


なんでこんな事になるの!?



自分の荒い息遣いに心の中でさえ思うように喋れない。


内からも外からも追い詰められているような感覚に一瞬クラリと目眩がした。



「凛音!!止まれ!!」

「……っ」


直ぐ近くまで近付いている足音に焦りばかりが増していって。

もうどうしたらいいのか分からなかった。



……お願いだから。

お願いだから諦めて!!

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