【短編】君だけを愛したい
君だけを愛したい

― WATARU ―



あー…、眠い……


昨日、遅くまで本読みすぎたせいだな。



朝。

高校まで徒歩15分の距離をダラダラと歩きながら。

毎日おんなじこと考えてんなー…とか思って、鼻で笑ってしまうオレ。


高澤渉(タカサワ ワタル)
受験生の自覚ナシな高3、18歳。


容赦無く照り付けてくる夏の太陽が、寝不足の体には正直キツイ。


汗ばんでずり落ちてくる眼鏡を押し戻しながら歩き続け、校門が見えてきた頃……



「渉ちゃーんっ!!」
「うわっ!?」



ただでさえ暑いのに、衝撃と共に背後から抱き着いてきたのは、



「崎村……」


「渉ちゃん、おーはよっ♪」



< 1 / 41 >

この作品をシェア

pagetop