キミが幸せに。

ミサンガを編む指にも力がこもる。


とその時、ベッドに置いておいたスマホが震えた。


ディスプレイには湊太の名前が表示されている。


「もしもし、湊太?」


「おう。今何してる?」


「あーえっと……、今?」


湊太の言葉に言いよどむ。


ミサンガを作っていたとは絶対に知られなくない。


「今は家でゴロゴロしてる。湊太は?」


「今部活の休憩中なんだけど、今日は早くあがれそうでさ。テストも終わったし、ちょっと会えない?」


……――会いたい。


本当は会いたいよ。


学校では毎日顔を合わせてるのに、不思議だね。


でも、二人っきりで会いたい。湊太の隣にいたい。


「ごめん、ちょっと具合悪いんだよね……」


あたしはとっさに嘘を吐いた。

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