Lunar Eclipse


「美羅。うるさい。邪魔」

そこへ二人目のクラスメイト登場。

長い黒髪はまっすぐストーンと

背中の真ん中くらいまであり、

涼しげな切れ長の目が知的な印象を

醸し出している、これまた美人。

さっきの口が動き続けている茶髪の子

を、表情一つ変えず注意している。

「っていうか、名前くらい名乗ったの?」

そう冷静に指摘された茶髪の子は、

あっと小さく声をあげてから、

こっちに向かってニカッと笑う。

「あたし、浜崎美羅。よろしく」

私は小さくお辞儀した。

「私、黒木凛。あなたは?」

黒髪ストレートの子に聞かれて、

私はとまどった。

名前なんてわざわざ教える必要など

ないと思うけど、

教えない必要もない。

「ねえ、あなたの名前は?」

再度聞いてくる黒木さんの顔が

さっきと全然変わっていなくて、

妙に威圧感を抱いた。

気づけば自分の名前を言っていた。

「寺坂、、美、、月」

「そ。これから一年間、お世話になるわね。

 よろしく」

黒木さんはそう締めくくると、浜崎さん

を列に並ばせ、

自分もその後ろに並んだ。

なんだったんだろう。

変な二人。無駄に美人だし。




それから、私にしゃべりかけてくる人

はおらず、ただこそこそと私のことを

うわさしている

声を私は聞いていたのだった。
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