PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―


小夜子が笑った。



「楽にしてあげる」



長大なツルギが振り下ろされる。


稲妻のようにきらめく衝撃波が走る。



海牙さんがわたしを放り出した。


長江先輩のほうへ駆け付けようとした。



長江先輩が右腕を正面に掲げた。


違う。朱獣珠が引っ張って右腕を導いた。


衝撃波が長江先輩を呑み込む寸前、朱いツルギが夜気を薙《な》いだ。



刃がまばゆく朱く燃える。


炎が躍り出て、衝撃波と炎がぶつかり合って、はじけた。


長江先輩が呆然と手元を見る。



「え、何これ? 自分の属性の元素、使えちゃうわけ?」



朱獣珠にチカラを授けた聖獣は、朱雀だ。


炎をまとう鳳凰《ほうおう》で、その属性は火。


だから、朱獣珠は真夏の炎熱を司る。


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