オタ男子隆司

今俺はナツオタと自宅で飲んでいる。

人違いとはいえ俺はこの出会いを大切にしたかった。

中学時代は彼女と仲良くなりたかったけど、ひねくれ者の俺は素直になれず苛めてしまったから…


今なら成長したから少しは素直に話せるようになったから。


再会をお祝いして"家で飲もう"と誘った。

彼女はひきつり笑いしながら俺の誘いに応じてくれた。
きっと断る事ができない性格なんだろう。


でも俺にとってはチャンスだ。
これを機会に仲良くなって願わくば友達に…できればその先も…



そんな下心アリアリな俺だった。

彼女はお酒が弱いのか５００ミリリットルの缶ビールですでに酔っ払いフレンドリーになって聞いてきた。
｢ところで山本の彼女と別れた理由て何？｣


いきなり本題だ。俺はバツイチになってから彼女はいない。
前の奥さんと別れた理由を話すのは、あまりにもキツすぎる。

なので誤魔化してナツナタに質問を仕返した。


｢いきなり直球だね。じゃあナツナタの前彼の別れた理由教えてくれたら言うよ｣
取り敢えずこう答えたら彼女は

｢いいよ。誰かに聞いてもらいたかったし…｣と言い出し少したってから
｢なんで私と別れたかったの？人の気持ちに疎いてどういう事｣

と言って彼女は突然ポロポロと泣き出した。


聞いてはいけない事を質問したと後悔した。

きっと別れたばかりなんだろうな…

俺も前の奥さんと別れたばかりの時は現実を直視する事ができなくて、よく飲みに行ってウサ晴らしてたっけ…


２年も前の事なのに当時奥さんに言われた言葉が鮮明に思い出させる。


"その趣味が気持ち悪いのよ！いい歳してアニメやアイドルに入れ込みすぎ。"

他にも色々言われたけど、この言葉が一番傷ついたな。

ヤバい俺も一緒になって号泣しそうだ。

滲み出す涙を必死に押さえてナツナタを抱き寄せ頭を撫で上げた。