Heaven~第一章~
「何だこれ……」

どの傷を見て学は言ってるんだろうか。
一瞬考えたけど、薄暗い店の中じゃあ古傷はきっと見えない。
だから……

「ちょっとね。まぁ、女の世界も色々あるからさ」

嘘はついていない。

「悪かったな」

そう言って学は服を直してソファーに横になっている私の隣に座った。

「何で学が謝るかな……ちょっと一人じゃ帰れそうにないからさ」

自嘲的に笑うと「じゃあ、帰るか」と私を軽々抱き上げた。

「ちょ、ちょっと学!」

「歩けねーんだろう?下に車止めてあるからそこまで我慢しろ」

何時になく強い口調になっている学に「ごめん」と従うしかなかった。

店の下に行くと学が言っていたように車が止まっていた。
ワンボックスの黒い車。
堕天使仕様の学の車。

今は堕天使モードの学だったんだと気付いた。

< 122 / 250 >

この作品をシェア

pagetop