プラチナ思考
可愛い妻


『はーい。みなさん、朝ですよー』

『『『おはよう母さん』』』

『お前が一番寝ぼすけだよ』

軽くデコピンが飛んできた、
いたーい。なんて言っても気にされない。我が家は平和です。

『母さん、クロワッサン美味しいよ?』

『ありがとー。優しいねぇ。』

定位置に座れば、勝手に出される朝食
今日は、パン

『母さん、オレンジジュース?』

『んぇ?ほうは、ひかん。』

『物入れながら喋んな。翡翠が真似すんだろ』

『まーーぁ。』

口の中にたくさん詰めてお話し始めた末っ子

『ほら、言わんこっちゃない』

翡翠、やめろ。と威圧感たっぷりに睨まれた本人は泣きもしない
それどころか、パパなんて怖くないよーと言いたげな顔をしていた

『こいつ、』

『ひーくん。ママの真似っ子はだめよー?』

小首をかしげ翡翠を見れば満面の笑み

『あーい。』

元気よく返事をして飲み物を飲む

『ったく。』

基本、パパの言うことは聞き入れない強者の末っ子翡翠
ママ大好きっこで通っている

呆れたようにため息ついて、席に座る大黒柱
これ美味しいねぇ?と、隣に座る妻にはベタ甘。
厳しくしつけているつもりらしいが子どもたちから見ると全然だ。

『誰が作ったもんだと思っている』

美味くないはずが無い。と断言するあたり

『えー、俺様ー。』

両面焼きした目玉焼きをフォークでつつきながら妻は笑った
すると、子どもたちが目の前にいようが関係なしにキスのプレゼント

妻もまんざらでもなく。もー。と言いながらも本気で怒ろうとはしない

『母さん、父さん、朝から甘いよ』

『そーそ、激甘。』

耐えきれず、口にしたのは長女の美月
中学生
それに便乗したのが次男の拓磨
ふぅ、とため息つきながら末っ子の口の周りを拭いてやるのが拓磨の双子の兄、研磨

『ひーくん。野菜は?』

『やっ。』

『そう、ならパン?』

『うーー。』

世話焼きな長男は進んで子育てをする

『研磨、いーよー?ママみてるから。』

『え、いいよ。母さん食べなよオレ食べ終わったし』

『そーお?』

『うん。』


じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかなー。と、ベーコンを食べる

『ったく、世話焼きな長男でよかったな。ほら、みかんジュース』

『本当にねぇ、研磨に足向けて寝れない』

ありがとー。と嬉しそうに受け取る

長女は、よくわかったな。とびっくりするがそれは父が母を溺愛するがゆえだろう。と冷めた目で見ていた


『あ、母さん。今日夕飯いらない』

『拓磨が珍しいねぇ』

苦手なブロッコリーは、隣にいる父の皿へと移しながら母は拓磨をみる。

『うん。部活のみんなと食べる約束してるんだ』

『いいなぁ。青春だねー。』

母の大好きなベーコン。父の皿から消えてゆく

それを気づいていて何も言わない父

『ごちそうさま。母さんまたブロッコリー』

長女は躾どうり、綺麗に食べ皿をシンクまで持っていく

『何のコトー?』

ベーコン美味しー。と幸せそうに食べる母

『美月、父さんは母さんに甘いんだよ。』

正論が返ってきた、見ると研磨が翡翠の食器と自分のと一緒に片付けている。

『兄さんは翡翠にあまいよ。』

『まだ3つだろ?母さん、行ってきます』

いつの間にか拓磨はリビングから玄関へ、食器はそのまま。

『行ってきマース』

翡翠を抱っこしながら家を出ていた

『あ、拓磨兄さんずるい!!
今日は私が送る日だもん!』

パタパタとあとを追う美月

『美月も翡翠が大好きなんじゃん。じゃあね。母さん、«残さず»食べなよ』

長男も慌ただしく出ていくと静かになる自宅

『ふう、みんな元気。』

『あぁ、』

コーヒーと、みかんジュースが仲良く並んでいた

『……………ごちそうさ』

『菜月』

『なーに?快斗』

『残さず食え』

『ブロッコリー嫌いなのーーー!』



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